まだオープンして1か月に満たないのですが、喫茶店を営むことの面白さというものが、少しずつ感じられてきました。
まず思うのは、人との出会いです。訪れてくださるのは、地元でつながりのある方々が多く、普段の生活の中で顔を合わせてきた人たちです。それでも店という場を通じて改めて会話を交わすと、これまでとは少し違う関係が見えてきます。たとえば、食事を楽しんでくださった感想や地域の出来事の話題など、ちょっとした会話の中に「この店があることで新しい交流が生まれているのかもしれない」と思わせる瞬間があります。
一方で、日々の営業は決して楽ではありません。仕込みの順番や調理の手際、配膳のタイミング、時間に追われながら工夫を重ねる日々です。思うようにいかないことも多いのですが、「昨日より今日の方が少しスムーズだった」と感じられるだけで、不思議と前向きになれます。小さな試行錯誤を重ねていくこと自体が、この仕事の面白さの一部になっているのだと思います。
さらに、喫茶店は地域の中で呼吸しているのだという実感もあります。季節の移ろいとともに話題が変わり、地元の出来事や暮らしの声が自然に店の中へ流れ込んでくる。そうした日常のやりとりの中で、店が少しずつ地域の一部になりつつあるように感じます。まだまだ始まったばかりで「地域に根付いた」と言える段階ではありませんが、その予感のようなものが芽生えています。
まだ結論めいたことを言える立場ではありませんが、喫茶店の面白さは、人との出会い、日々の小さな挑戦、そして地域との関わりが少しずつ折り重なっていくところにあるのではないか――そんな気がしています。
