ミラドールのランチは、カレーやグラタン、ホットサンド、皿うどん、ドリアなど、調理時間も仕上げ方もさまざまです。最近になってようやく、それぞれの料理を同じタイミングでお出しすることの大切さと、その難しさを実感しています。

グラタンやドリアはオーブンでじっくり焼くため完成まで時間がかかります。カレーはすぐによそえますが、ライスや付け合わせの準備が必要。皿うどんは麺と具材を別に用意し、仕上げのあんをかける瞬間が勝負。ホットサンドは焼きたてをすぐ出さなければ香ばしさが失われます。こうした違いを踏まえ、まずは一番時間がかかる料理から着手し、他は「温め直し」や「最後のひと手間」でタイミングを合わせる。提供直前には全員分を一度並べてからホールへ。わずか1分の調整でも、全員で「いただきます」をそろえると食卓が一層和やかになります。

こう書くと落ち着いて段取りを組んでいるように見えますが、プレオープンの頃はそんな余裕はまったくありませんでした。とにかく入った注文から順番に作るので精一杯で、グループのお客様にも一皿ずつ時間差でお出ししてしまうことが多く、食べ終わった方の隣でまだ料理を待っている方がいる――そんな場面を経験しました。そのたびに「これではいけない」と思いながらも、次の注文に追われる日々でした。

今は少しずつ、カレーの鍋の火加減やオーブンの残り時間を見ながら頭の中で逆算する癖が身についてきました。まだ試行錯誤の途中ですが、小さな工夫と心配りが、ミラドールのテーブルに楽しい時間を運んでくれるはずだと信じています。