秋田県南部を走る由利高原鉄道、通称「おばこ号」。羽後本荘から矢島まで23キロの道のりを、のどかな田園や子吉川に沿って進むその姿は、四季折々の景色に溶け込みます。晴れた日には、車窓から雄大な鳥海山を望むこともでき、旅人に深い印象を残します。

沿線には味わい深い駅が点在していますが、とりわけ吉沢駅は心を惹きつけます。小さな待合室と一本のホーム、その先に広がる田んぼと青い空。列車を待つひととき、ただ立っているだけで、時間がゆっくりと流れていくのを感じさせてくれます。

しかし、沿線の人口減少や自動車利用の増加により、経営は決して楽ではありません。それでも小さな列車は、地域の人々に支えられ、観光列車やイベント列車、運転体験など、さまざまな工夫を凝らして存続の道を切り開いています。公募社長の登用や地域との連携も進めながら、「おらほの鉄道」として日々奮闘を続けています。

由利高原鉄道は単なる移動手段ではなく、地域の記憶を運び、未来をつなぐ大切な存在です。吉沢駅の静かな風景とともに、この路線がこれからも鳥海山の麓を走り続けてほしい――そんな願いを込めて、カフェ・ミラドールは “おらほの鉄道” を応援しています。