私たちの喫茶店は観光地にありながら、あえて地元のお客様を主なターゲットにしています。観光客は季節や天候によって来店数が大きく変動しますが、地元のお客様は日常の中で繰り返し訪れてくださるため、経営の基盤として非常に大きな存在です。長く続けるためには、観光の波に左右されない安定感が欠かせません。
そのため、価格やメニュー構成は「特別感」よりも「普段使いできる安心感」を意識しています。日常の延長として気軽に立ち寄れる場所であること、そして居心地の良さを感じてもらえることを第一に考えています。席についたときにほっとできる空気や、顔なじみのやり取りが自然に交わせる雰囲気は、地元密着の店だからこそ生まれるものです。
また、地域とのつながりを大切にすることも心がけています。季節の行事や地域の出来事を会話のきっかけにしたり、店内で地元の情報がさりげなく得られるようにしたりすることで、お客様に「ここに来れば何かとつながれる」という安心感を持っていただけます。そうした小さな積み重ねが、信頼と愛着を生みます。
このような地元中心のスタイルは、結果として観光客にとっても魅力になります。ふらっと立ち寄った旅人が、地元の方々と同じようにくつろぎ、地域の空気を感じる――そんな体験は、観光ガイドには載らない思い出になります。
まずは地元のお客様にとって「日常の中に自然にある喫茶店」であること。それが揺るぎない土台となり、やがて観光客の心にも残る店づくりへとつながっていくと信じています。
